存在感のある手織りのマフラー。
それはまるで、呼吸しているかのような風合いを持っています。
どれも世界でたったひとつです。

織ったのは、福祉事業所に通われるみなさんです。
さまざまな障がいのある方々が「さをり織り」という技法でひとつひとつ手作りされました。

特定非営利活動(NPO)法人 さをりひろば
さをり織りを通じて国内外で障がい者や高齢者などの支援を行う他、さをり織りの指導者の育成やさをり織りの普及活動などを行っている。
2009年より障害者福祉サービス(就労移行支援、就労継続支援B型)事業所「SAORI hands」を開所し、2011年には、体験工房「SAORI豊崎長屋」をオープンさせ、障がい者の働き方の提案をしている。
わくわくとぬくもりの「さをりマフラー」が誕生

「さをり織り」は、ルールや決まった形のない自由な手織りです。
人に教えられるのではなく、生まれながらの感性を自ら引き出します。
その人それぞれの輝く感性が布に表れることで、障がいのある人たちの表現のステージにもなっています。


明るめの糸色を多く使用した「ときめきの色」とダークトーンをあしらった「落ち着きの色」の2パターンを用意しています。
どんな色が届くかは開けてからのお楽しみ。

首に巻いたり、頭に巻いたり。
いつものコーデが思いがけず、ワクワクとぬくもりがあふれるものに変わりそうです。
さをり織りは障がいのある方にとっての安定剤に
マフラーを制作してくださった事業所のひとつ、「SAORI hands」に伺いました。

「さをり織りは一種の整いなんです。
安定剤のような存在になる人もいる。そういう要素がさをり織りにあるんです」。
こう話すのは、さをりひろば 代表理事の城 哲也(じょう・てつや)さん。

「テンションが高いとき、反対に低いとき、そんな自分のマインドを整える要素があります。
少しずつ織る中で、一番こころが落ち着くような状態に整ってくるんです」。
どんな表現をしても、それが個性になるさをり織りだからこそ、障がいのある方との相性がよかったと言います。

「精神障がいや発達障がいなどがある方は、人との関わり方や物の捉え方が人と違うと二次障がいのようなものが生じることがあります。そのせいで、なかなか一般生活でうまくいかないこともあります。
そんな中、さをり織りはその人本来のペースで進めることができるんです。
『絶対にこうしてね』がなくて、ありのままが作品になるという特徴によって、障がいのある方の特性を生かすことができます。
障がいのある方のための織りではないんですが、障がいのある人たちが自分たちのこころを安定させる手段のひとつがさをり織りだったんです」。
織りに夢中になることで訪れたうれしい変化
それぞれ、思いのままに織り進める利用者のみなさん。
さをり織りはどんな存在になっているのでしょうか。

てんどうさんは、大きな窓から光が差し込むこの場所が定位置です。
精神疾患を患ったことがきっかけで、10年ほど前から通われています。
当時、こころを落ち着けるものがほしかったんだそうです。

てんどうさん
「さをり織りを始めてから対人関係のストライクゾーンが広くなったの。
誰とでも人とのコミュニケーションがとりやすくなりました」

経糸(たていと)を張る作業をしていたコタケさんも10年以上のベテランです。
さをり織りで、自分の洋服を作って着るのを楽しんでいます。
こちらのユリさんは、驚くようなスピードで織り進めていました。

20歳のころから始めて、もう18年目になります。
目にも留まらぬ速さで織っていますが、これがユリさんの落ち着くペースなんだそう。

散歩などで景色を見るのが好きで、作品はこころに残った景色がモチーフになっていることが多いとのこと。
この日も、(具体的にどんな景色かは聞けませんでしたが)春の風景を作品に投影していました。
なかには、とっても複雑そうな柄を操っている方もいました。

タカハシさん
「世界に1つしかなくて、機械ではできないような作品ができるのがいいですね。とっても集中できます」。

以前は、アルコールへの強い依存があったタカハシさん。
お酒以外の楽しみを探す中で、さをり織りにたどり着いたそうです。
この日は、4か月間織り続け、すでに13メートルほどになっている作品をさらに織り進めていました。
何に活用するかは織りきってから決めるんだと、うれしそうに話してくれました。
さをり織りをたくさんの人のこころの拠り所に
さをりひろばでは、たくさんの方にさをり織りをこころの拠り所にしたり、親しんでいただきたいと、体験工房を開いています。
城さん
「さをり織りをする中で自分のこころが気持ちいいっていうのは、誰にでも通じることではあるはずなんです。
障がいの有無関係なく誰もが辛いときがありますから」。

「正しいやり方やミスをしないようになんて考えなくていい。
さをりひろばの障がいのあるメンバーさんたちは楽しいか楽しくないかの判断だけで進んでいきます。 これが伝わればいいなと。工房で教えるのは、その障がいのあるメンバーたちなんです」。

「手織り体験工房 SAORI豊崎長屋」は明治時代の長屋をリノベーションしたスペースで開かれていて、子どもも大人も、誰でも興味のある人がさをり織りを体験できます。
好きな糸を選び、マフラーやランチョンマットなど、世界にひとつだけの作品を作ってみましょう。
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大阪市北区豊崎1-7-2
営業は、火・水・木・土の10:00~18:00
月・金・日・祝は事前予約された方のみ
電話:06-6376-0410
メール:saoritoyosaki@gmail.com
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ぬくもり感じるアイテムでボーダーなくつながる未来へ

福祉事業所のみなさんのていねいな手仕事で完成した「さをり織りマフラー」。
触れると、やわらかくほんのり人のぬくもりを感じられます。
計算では生み出せない、絶妙な色遣いや柄にこころが躍ります。

また、作品ひとつひとつに手掛けた作家直筆のメッセージカードがついてくるのもうれしいポイント。
城さん
「どんな人が織っているんだろうって想像していただきたいです。こころを整えるためのものにもなっているさをり織りは、売ることが目的になるとそのギスギス感が作品に出てしまう。本当に自然体の作品作りでないといけないんですよね。
そして、障がいがある方は、その自然体なものづくりが得意な方が多いんです」。

フェリシモでは、チャレンジド(障がいのある方)のクリエイティブなプロダクトの価値を商品づくりを通して最大化し、販売することで、かかわる人だれもがボーダーなくつながる未来を目指しています。

さをり織りマフラーは、ただの商品ではなく、織ることでこころが整い、身に着けることで誰かとつながる。
つくる人の時間と、受け取る人のこれからが重なっています。
また、売上の一部は「チャレンジド応援基金」として、チャレンジドの創作活動や社会とのつながりを広げる取り組みに活用されています。

活用先のひとつがこちらのリーフレットの制作です。
おなかの赤ちゃんに病気が見つかったとき、限られた時間の中で、情報や選択、周囲への伝え方に深く悩むことがあります。
このブックレットは、パートナーやきょうだい、祖父母、医療者など、さまざまな立場で赤ちゃんと関わる方々が、想いを整理し、一歩を踏み出すための手がかりとなることを願って作成されています。
チャレンジドの方々が手掛けた素敵な商品を手に取ることで、みんながうれしい未来へ、いっしょに歩みませんか?
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