ふわりと木の香りが漂う杉の土台に、1本1本糸をかけて美しい幾何学模様を描いていく「糸曼荼羅(いとまんだら)」。
ただの手づくりキットではなく、フェリシモで森を愛する「森活部(もりかつぶ)」のプランナー・田浦さんと、木から糸を生み出すブランド『縁樹の糸(えんぎのいと)』の加藤さん、二人の森への想いが交差して誕生したものなのです。
木は、つむがれ、糸に。けずられ、台木に。木のぬくもりを、新しいかたちで愉しむ。
木の物語をぜひ体験してみてください。
森への想いの共鳴
プランナーの田浦さんには、自然を近くに感じられた経験がありました。
それはご両親の生まれ育った山深い豊かな里山で過ごした時間。
幼いころから「本物の森」の空気に触れて育ちました。
そんな田浦さんは、フェリシモにある「森基金」という環境保全の取り組みを受け継ぐ「森活部」をより盛り上げていくために再始動をかかげ、新しい社会貢献の形を探していました。

田浦)
これまでの活動は、植林や保全活動に基金を寄付する活動が主でした。
でも今回は『商品』を通じて、お客さまの暮らしに森へ意識を向けるきっかけを届けたかったんです。おうちで手を動かしながら森を感じてもらうことで、自然を想うやさしい気持ちが育っていく。森とお客さまのつながる形を作りたかったんです。
模索する中で出会ったのが、縁樹の糸・加藤さんが開催していた「木の糸」を使った糸曼荼羅のワークショップでした。

縁樹の糸
縁樹の糸(えんぎのいと)は日本各地の樹木や倒木、間伐材、端材を繊維に紡ぎ、製品として再生させています。
木を新たなカタチによみがえらせ、生活の中に活かすことで自然とヒトにやさしい、ここちよく豊かなくらしを提供します。
製品や活動を通じて自然環境の保全、地域・伝統・文化の継承、持続可能性のある共生の未来づくりを目指しています。


元々アパレル業界で洋服づくりに携わっていた加藤さんの会社は、ニット編みのオートクチュールなど「パーソナルな生産」を大切にされ、「極小ロットでも、必ず背景や物語があるものを作りたい」という実直な想いを持っていました。
そんな加藤さんは『森をまとう』というコンセプトで木の糸を作り始めます。
そのコンセプトに至るきっかけとなったのが、大峯山へ入る山伏との出会いでした。山伏に同行し山へ入る中で得た気づきや、日常の価値観がリセットされるような感覚を、山を下りた後の暮らしにも持ち帰れないか。『大峯山をまとう』ように森を身近に感じられないかと考えたことが、木を糸や布へと生まれ変わらせる発想へとつながっていきました。

加藤さん)
糸や布は、日常の中で触れられ、暮らしに寄り添えるもの。
木のぬくもりを通じて、自然を愛でる気持ちや、木を大切にする気持ちが生まれたら。
日常の暮らしに寄り添うアイテムで、お客さまと森をつなぎたい。
二人の想いが共鳴し、今回の糸曼荼羅キットの商品化がはじまりました。
無心になって、手を動かす時間
田浦さんがこの糸曼荼羅に強く惹かれたのは、その無心になって、手を動かす時間です。
ピンに規則的に糸をかけていく作業は、一見単純ですが、糸をかけることに集中していくうちに、瞑想を思わせるような感覚が生まれます。

田浦)
森に入ると、都会にいる時とは違う五感が働くような気がします。
森の中って静かなんだけど、土の感触やにおい、生き物の気配など、実はたくさんの情報量が入ってくるんです。
それが自分の内側へとスッと入っていくような感覚があって、この糸曼荼羅を無心でやる感覚は、それにすごく似ているんじゃないかと思ったんですよね。
足もとの土の感触、木々のい、命の気配。
糸曼荼羅づくりには「家にいながらにして、そういう感覚になれる」おうちで森を歩くような、心をととのえる時間があったのです。
「木の呼吸」を届けたい
しかし、これを全国のお客さまへお届けできる「商品」にする道のりには、大きな壁がありました。
当初、田浦さんはワークショップで使われていたような丸太の切り株を土台にしたいと考えていました。
しかし、自然のままの丸太は虫がついたり割れたりしやすく、通信販売でお届けする商品としては物流の観点から実現が難しかったのです。
「できる限り森を感じられるものをお届けしたい」という想いは変えられない、それが私たちの強い考えでした。
理想と現実のギャップに悩む中で、加藤さんが東奔西走し「対面ではない(通信販売の)難しさ」を痛感しながらも両社納得した今の形にたどり着くことができました。

箱を開けるとしっかりと杉の清々しい香りが漂います。※天然素材のため香りには個体差があります。
杉本来の香りや手ざわりをできるだけ感じていただけるよう、削り方や塗料を工夫し、木ならではの素材感がある仕上がりにこだわりました。
また、「節(ふし)がおもしろい」と、節や木目もその木が持つ一枚一枚の個性として残しているのもこだわりです。

木の物語をつなげたい。

加藤さん)
日本では、これまで植え育ててきた人工林の多くが利用期を迎えています。森を健全な状態で次の世代へつないでいくためには、木を適切に育て、伐って使い、そしてまた植えるという循環をつくっていくことが大切だと考えています。
糸曼荼羅キットは加藤さんが手がける「木の糸」も使用しています。
森を守るために切り出された間伐材や、端材などを活用して作られたこの糸には、「もったいない」を「愛しい」に変え、森の息吹を暮らしの中で愛でてほしいという加藤さんの実直な想いが込められています。
加藤さん)
環境保全のために木を積極的に暮らしに取り入れようという考えも大切だと思います。
でも私がそれ以上に大切にしているのは、その木が育ってきた土地や背景、そこにある物語まで人へつなぐことです
。ただ木を消費して終わるのではなく、最後まで物語のあるものにしたいと思っています。糸や台木に触れたとき、木の香りや木のぬくもりと共に、その物語を感じてもらえたらうれしいですね。
木の土台だけでなく、交差する糸からも木のぬくもりを感じられる。
田浦さんと加藤さんのこだわりが掛け合わさることで、まさに五感で自然を感じられるキットが完成しました。
糸の色に込めた3つの景色。五感で味わう森の情景
キットの糸のカラーリングも、単なる美しい配色というだけでなく、それぞれに森の情景への想いがたっぷりと込められています。
田浦)
今の森は杉だけ、ヒノキだけと単一的になりがちですが、本来の森はびっくりするほど多様性があって、たくさんの種類の草木が生え、生き物たちがいて、色々な声が聞こえるべき場所なんです。
パッと見は緑や茶色ばかりに思うかもしれないけれど、本当はすごく色とりどりで、多様性に溢れているんです。
そんな「森の多様性」を表現するために、色鮮やかな糸を合わせ、五感で感じる3つの景色をデザインしました。
◆ 息づく空気と香り「森のにおい」

緑の木々に包まれ、ふわりと香りが漂ってくるような森の空気を表現したカラーです。
木々のグリーンや木の幹のニュアンスを基調に、森の奥深くで深呼吸したくなるような、落ち着いた情景を糸の色に込めています。
◆ 見上げる光の美しさ「森のきらめき」

森の中でふと空を見上げたときの景色を映し出しています。
木々の間から青い空がチラチラと見え、木漏れ日の光がキラキラと降り注いでくる。
そんな、森の中で光と風を感じるような、爽やかで透明感のある情景を糸の色で表現しています。
◆ 命の気配「森のささやき」

森に息づく様々な動植物の気配や、風に揺れる葉音、生き物たちの賑やかなささやき声が聞こえてくるような、生命力にあふれた情景を色とりどりの糸で表現しています。
ただ美しい模様を作るだけでなく、どの色糸をかけていくか、交差させていく過程そのものが森の景色を描く体験になっています。
完成した曼荼羅を眺めるたびに、そこに息づく光や命の気配、そして豊かな森の多様性を感じていただけるはずです。
五感を開き、自分と森に向き合う時間
「商品を通じて、おうちで森を感じてほしい」という田浦さんの願いが詰まった今回のキット。
ふわりと香る杉の匂いに包まれながら、木の土台に触れ、無心に糸をかけていく。
その規則的な手の動きは、まるで瞑想のような深い集中をもたらし、閉じていた五感をゆっくりと開いてくれます。同じキットを使っても、糸をかける順番でつひとつ表情が変わり、決して同じものは完成しません。
日々の忙しさを少しだけ手放して、自分自身の内面と静かに向き合う時間。
そして、手元にある木のぬくもりから、自然の豊かさや森の心地よさを思い起こす時間。
なお、このキットには「フェリシモの森基金」がついており、糸曼荼羅を楽しみながら未来の森を育てる活動へと直接つながっていきます。
完成した自分だけの小さな森を眺めながら、自然を愛でるやさしい気持ちを、日々の暮らしの中で感じていただけたら——。
一人一人の森への想いがよりよい未来へとつながります。
ぜひあなたの自然や森との思い出を思い起こしてみていただけたらうれしいです。
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