フェリシモのYOU+MORE!から、とってもかわいくて、ちょっとマニアックな新アイテムが登場しました!
小笠原諸島に実在するザトウクジラ「モッチーニ」をモデルにしたザトウクジラのマスコットポーチです。
今回は、この商品の監修を務めてくださった「小笠原ホエールウォッチング協会」の研究員・細井彩香さんにインタビュー。
小笠原の海のこと、不思議がいっぱいのクジラの生態、そして商品に込められた熱いこだわりを伺いました。

一般社団法人小笠原ホエールウォッチング協会
OWAは1989年、ホエールウォッチングの振興と小笠原の発展に寄与することを目的として発足。
2000年にはエコツーリズムの推進を会の目的に加え、2005年には第一回エコツーリズム大賞の優秀賞を受賞。
2010年4月1日には一般社団法人として新たなスタートを切りました。
クジラと人が優しい距離感で共存する島
今では“クジラの楽園”として知られる小笠原ですが、実はかつて、まったく異なる歴史を持っていました。
細井さん:
もともと小笠原は、19世紀に捕鯨のための寄港地として開拓された歴史があるんです。
1988年に商業捕鯨が撤退するまで、小笠原はクジラを「捕る資源」として利用する場所でした。
しかし、捕鯨が終わったその年、大きな転換期を迎えます。
細井さん:
クジラを捕るのではなく、これからは“観る資源”として大切にしていこうという動きが生まれました。
1988年、日本で初めて商業的なホエールウォッチングが始まったのです。
翌1989年には、クジラたちのありのままの自然な行動を妨げないための「自主ルール」を管理・運用し、クジラやイルカの調査をする組織として、小笠原ホエールウォッチング協会が設立されました。

―小笠原では、クジラを見るための「自主ルール」があるとお聞きしました。
細井さん:
はい。
ホエールウォッチングが始まった当初から、『クジラたちのありのままの自然な行動を妨げてはいけない』という課題がありました。
船が近寄りすぎてクジラが嫌がってしまったり、子育てのために小笠原に来ているのに、船を避けるためにエネルギーを使わせてしまったりするのを防ぐためです。
そのため、
『300m近づいたら減速する』
『100m以内やクジラの前方には入らない』
といった自主ルールを設け、30年以上にわたってずっと運用しています。」
〈クジラを守る自主ルール〉
● クジラに300mまで近づく場合は、船の速度を減速する。
● クジラから100m以内、およびクジラの前方には船を入れない。
―ルールを守り続けて、何か変化はありましたか?
細井さん:
調査や観光の方からのお話を聞いていると、だんだんクジラが増えてきたなと実感しています。
最近では、船を止めて待っていると、クジラの方から自発的に近づいてきてくれることもあるんですよ。
決して悪い関係ではないのかな、良い関係が築けているのかなと感じて、とてもうれしくなります。
協会と小笠原海洋センター(認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー)が共同で長年続けている「個体識別調査(クジラの尾びれを撮影し、個体を識別して記録する調査)」には、海を守るためのとても重要な役割があります。
実は、クジラを調べることは「世界中の海で何が起きているか」を知るためのバロメーターにもなるのです。
細井さん:
北太平洋には少なくとも4つのクジラのグループがあると言われていて、そのうちの一つであるハワイで、研究者が毎年の個体数の推移を調べていたんです。
ずっと順調に増えていたのですが、2014年頃からガクッと数が減ってしまうということが起きました。
原因を調べたところ、ちょうどクジラたちの数が減り始めた時期に、クジラたちがエサを食べに行く北の冷たい海域で、極端に海水温が高くなる現象が起きていたんです。
そのせいでエサとなる小魚やプランクトンが減少し、結果としてクジラたちも減ってしまったということが考えられています。
クジラは数千キロもの距離を移動しながら、地球規模でダイナミックに生きています。
だからこそ、毎年同じ海域に「どの子が、何頭帰ってきているか」を記録し続けることで、遠く離れた海域の異変や、地球温暖化の影響に気づくことができるのです。
細井さん:
小笠原でも、こうしてクジラの個体数などを調べていくことによって、『今、クジラたちに何が起きているのか』、そして『世界中の海で何が起こっているのか』を調べることができるんじゃないかなと思っています。
小笠原のアイドル!「モッチーニ」の正体
今回ポーチのモデルになった「モッチーニ」は、小笠原で最も有名なザトウクジラです。
実は、ザトウクジラは「尾びれの形」や「尾びれの裏側の白黒模様」が1頭ずつすべて異なり、人間の指紋のように個体を識別できる手がかりになります。
―細井さんがクジラに興味を持ったきっかけを教えてください。
細井さん:
私は大学時代に海の研究サークルに入っていて、その活動を通じて小笠原海洋センターでボランティアをするようになったのがきっかけです。
その時、調査に連れて行ってもらって初めて生のザトウクジラを見たのですが、もう大きくて本当にびっくりして!『もっとこの生き物のことを知りたい!』と強く思いました。
実は、私が「もっとクジラを見たい」という思いから人生で初めてホエールウォッチングに行ったその日に、最初に出会ったのがまさに『モッチーニ』だったんです。
もうそれだけで、一気にクジラの世界に引き込まれてしまいました。
だから今回のグッズも、モッチーニをモデルに作ることができてうれしいです。

―モッチーニについて教えてください!
細井さん:
モッチーニは1992年生まれで、今年で34歳になります。
赤ちゃんの頃からずっと尾びれの写真が撮影され続けていて、成長が記録されているとても貴重なクジラなんです。
お母さんの『マモ(マザーモッチーニ)』も小笠原で見つかっているので、私たちは何世代にもわたって家族のつながりを見守っているんですよ。
―34歳!今でも元気な姿を見せてくれているんですね。
細井さん:
はい!
モッチーニは大体3年に1回のペースで子供を産んでいて、今年も2月上旬に小笠原へ帰ってきてくれたことが確認されました。
そして3月の頭には、かわいい赤ちゃんを連れて泳いでいる様子が見られたんです。
『今年もこの近くの海で無事に出産して、子育てをしてくれているんだな』と。
モッチーニはあまり人間にベタベタ近寄っては来ないんですが、島では本当に大人気で、毎年『モッチーニ目撃情報』が出ると、みんな一目見ようと海へ出かけるんですよ。

💡知られざるクジラの生態エピソード
インタビューでは、私たちが知らないクジラの不思議な生態もたくさん飛び出しました。

■子育て中はなんと「絶食」!?
細井さん:
ザトウクジラは冬から春にかけて小笠原のような温かい海域で出産や子育てを行い、夏から秋は冷たい海へ行ってエサを食べます。
実は繁殖海域である小笠原にいる間は基本的にエサを食べないと考えられています。
母クジラは出産して子育てをして、でも自分はほとんどご飯が食べられなくて……北の海で蓄えたエネルギーを大きく減らしながら小笠原にいるんです。
だからこそ、皆さんに優しくウォッチングしてくださいねとお願いしています。
■海の中で流行りの「歌」がある?
細井さん:
繁殖海域では、オスのクジラが人間の歌のような旋律を持つ『ソング』を発します。
面白いことに、地域や年によって『流行りの歌』があるみたいで、誰かが鳴いて、みんながどんどんそれを真似して広がっていくようなんです。
―なぜ『ソング』があるのでしょうか?
細井さん:
何のために鳴いているのかっていう理由は、実ははっきりとは解明されていなくて……。
ただですね、繁殖海域でのみ鳴いていることから、メスを惹きつけるためだったりとか、オス同士で縄張りを主張したりとか、そういったことに使われているんじゃないかと考えています。
ぬいぐるみポーチのこだわり・監修ポイント

今回のコラボレーションで誕生したアイテムは、小笠原ホエールウォッチング協会(そして長年個体識別調査を共に行ってきた小笠原海洋センター)の熱い監修のもと、驚くほどリアルで、かつ愛らしい姿に仕上がりました。
何よりもこだわったのが、やはり個々のザトウクジラを見分ける際の重要なポイントである「尾びれ」のデザインです。
<モッチーニだけの特別な尾びれ模様>


単色で表現するのではなく、モッチーニのアイデンティティである「尾びれの独特な白い模様」と「縁のギザギザとした欠け」を忠実に再現しました。
<シュッとしたリアルなフォルム>

イラストや一般的なぬいぐるみで描かれがちな、丸っこいデフォルメされたクジラではなく、野生のザトウクジラが持つ本来の「シュッとした細長いスマートな体型」を追求しました。
<特徴的な生態の再現>


体の1/3を占める長い胸びれ、頭の周りにあるゴツゴツとしたコブ、低めの背びれなど、研究員だからこそ気づく形態学的な特徴が細部までしっかりと編み込まれています。
細井さん:
このグッズを手にした方が、『なんでこんな形をしてるんだろう?』『この尾びれの模様は何だろう?』と興味を持つきっかけになってくれたら、これ以上嬉しいことはありません。
すでに島内で先行販売されたTシャツやハンカチは、情報が出るやいなや島民のみなさんが買いに走り、なんとほぼ売り切れ状態になるほどの大人気なのだとか!
背中からビニール袋を引き出すと「潮吹き」のように見えるユニークな仕掛けもあり、「ビーチクリーンなどでゴミを持ち帰る袋を入れて使っても素敵ですね」と盛り上がりました。
日常の中で、海とつながる
ザトウクジラたちは、夏から秋にかけてはロシアやアラスカなどの冷たい北の海でたくさんの餌を食べてエネルギーを蓄え、冬から春になると、この温かい小笠原の海へやってきます。
小笠原にいる間は「絶食状態」で子育てに励むクジラのお母さんたち。
自分のエネルギーをすり減らし、すっかり痩せ細るまで、赤ちゃんに惜しみない愛情を注ぎ続けるのです。
最後に、細井さんから読者のみなさんへ、温かいメッセージをいただきました。
細井さん:
ふだんの生活の中で、クジラに出会うことはなかなかないと思います。
でも、ザトウクジラは海で暮らしてはいますが、私たちと同じ哺乳類です。
決して遠い存在だと思わずに、このアイテムを日常の中で使って、ふとクジラたちのことを思い出してほしいなと思っています。
また、地球温暖化などで海水温が上がってしまうと、クジラたちにとっても暮らしにくい海になってしまうかもしれません。
この小さくてかわいいクジラのグッズを通して、彼らが暮らす雄大な自然環境や、美しい海を守ることについて、少しでも思いを寄せていただけたらとても嬉しいです。
モッチーニのぬいぐるみポーチ。
ただ可愛いだけじゃなく、その背中には小笠原の美しい海と、クジラを愛する人々の温かいストーリーが詰まっています。
そして、このモッチーニをお迎えいただくことは、「フェリシモいきもの未来基金」として、日本動物園水族館協会(JAZA)を通じた動物たちの保全活動への小さなエールにもなります。
商品価格のうち100円が、いきものたちの命を未来へつなぐために大切に役立てられます。
ふとした瞬間に小笠原の潮風を感じながら。
愛らしいモッチーニと一緒に、笑顔あふれるやさしい毎日を過ごしてみませんか?
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