大阪湾に造成された人工島・舞洲(まいしま)にはカラフルで美しいごみ焼却場「舞洲工場」があります。
工場見学を通じて私たちの生活から排出されるごみの行方に迫りました!
またごみ処理におけるごみ分別の大切さや、現状の問題について舞洲工場の副工場長に取材しました。

大阪広域環境施設組合 舞洲工場
大阪市内の家庭用一般ごみや粗大ごみを処理するごみ焼却場。
オーストリアの芸術家・フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーによってデザインされたテーマパークの建物のようにカラフルな見た目が目を引く。
「自然との共生」をテーマに曲線を多様したデザインが美しく、世界一美しいごみ処理場とも言われる。
美しすぎる!「自然との共生」をテーマに作られた舞洲工場
大阪市の舞洲という人工島に、突如として現れる色鮮やかで美しいまるで異世界に入ったかのような建物があります。

じつはここ、ごみ焼却場なんです!
24時間体制で大阪市内の家庭用一般ごみや粗大ごみを処理しています。
建物は2001年に完成しました。
なぜこのような美しい外観をしているのでしょうか?
ごみ焼却場は海の近くなど住宅街から離れたところに作られることが多く、迷惑施設といわれることもあります。
そのイメージを覆し、魅力的な施設にしたいと考え、オーストリアの芸術家フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーに依頼し美しい舞洲工場が完成しました。
フンデルトヴァッサー氏は自然保護建築デザインで有名でした。
この舞洲工場でも「自然との共生」をテーマにこだわりがたくさん詰まっています。
たとえば工場全体は「自然界には直線や同一物が存在しない」という考えから、あらゆるところに曲線が取り入れられています。
柱のデザインはどれも異なり、同じものはないそうです。

工場の外壁は赤と黄色が印象的に使われ、ごみ焼却を行う炎を表現しています。

また、工場内には緑がたくさん植えられており庭園もあります。


外観からも「自然との共生」を大切にしていることが分かりますが、ごみ焼却場の内部はどうなっているのでしょうか?
舞洲工場でのごみ処理の仕組み
舞洲工場では、一般ごみと粗大ごみの焼却・破砕処理が行われており、主に以下の3つの工程で処理されています。
1,ごみを受け入れる(分別されていないものがないかの確認、貯留等)
2,ごみを焼却する(徹底した高温処理と、発電利用)
3,焼却後の処理(有害物質の除去と、灰の最終処分)

〈一般ごみの処理工程〉
ごみの投入①→ゴミの貯留②→焼却⑥⑦⑧→排出される灰と排ガス、排水の処理⑩⑪,⑭~㉒
〈粗大ごみ〉
可燃性粗大ごみと不燃性粗大ごみ(アルミ、鉄)に選別→ごみを粉砕→可燃物は焼却処理、不燃物は鉄・アルミを選別して回収し、リサイクル
〈一般ごみの処理工程〉


まず、ゴミ収集車がごみを投入するプラットフォームでごみの点検が行われます。
ごみを投入する前に、ペットボトルや産業廃棄物が混ざっていないか、職員によって厳しく確認されます。
ーもしほかのごみが混ざっていたらどうするんですか?
副工場長)
集めてきた人に、返しに行ってもらいます。それぞれのごみに適した処理場に持っていっていただく必要があるんです。
せっかく集めてきたのに、返しに行ってもらわないといけない状況に落胆します。
点検後、プラットフォームの扉からトラックで集めてきたごみをごみピット(ごみを貯留する場所)に投入し、貯蔵します。
ごみクレーンで焼却炉の投入口(投入ホッパ)にごみが運ばれ、いよいよ焼却炉へと落ちていきます。
炉内では、階段状の火格子と呼ばれる前後に移動するレーンと固定されているレーンがあり、動くレーンがごみを押すことで、炉内をごみが移動しながら焼却されていきます。
炉内の温度は約900℃で、約5時間かけて灰になっていきます。


ー家庭ごみのなかに金属が混入していることはないのでしょうか?
副工場長)
よく混入しています。
1mを超える長さのあるごみが混入していた場合、焼却炉に落ちるまでのごみの通り道が狭いために引っかかってしまいます。
また、30cmを超える金属が混入していると設備故障の原因になり大変困っています。

集められた灰は灰ピットに集められ、トラックで埋立地に運び込まれます。
埋立地ではにおいや飛散を軽減するために、灰と土を交互に(灰→土→灰→土…)埋めて処分されますが、埋立地の容量にも限界があります。
焼却炉から排出された排ガスは有害物質にあわせてそれぞれ無害化の工程を何段階も経て処理されます。


ーこの工程で完全に排ガスは無害になるんでしょうか?
副工場長)
有害物質が完全になくなりはしませんが、有害物質量は国が定めている基準の1/10以下です。
〈粗大ごみの処理工程〉
粗大ごみには、木などの可燃物、金属、そしてそれが組み合わされているものがあり、細かく粉砕されてから、可燃物・アルミ・鉄の3つに選別されます。
可燃物は焼却処理へ、金属はリサイクルへと回されます。


さらに、焼却で発生する熱を活用し発電を行っています。

ーごみを燃やすことで作られる電気はどれぐらいあるんでしょうか?
副工場長)
1時間に約2万4000kW、最大で約3万2000kW発電できます。
発電した電気は舞洲工場で利用しています。
ー舞洲工場ではどれぐらいの電気を使用するのでしょうか?
副工場長)
1時間に3000~5000kWを使用しています。
余った電気は電力会社に送電し年間10億円ぐらいの収入となり、工場の運営に利用されています。
環境負荷を減らすため&安全なごみ処理のために私たちができること
舞洲工場の見学では、私たちの生活から出るごみが、どのような工程を経て処理されているのかを知ることができました。
案内してくださった副工場長は、環境への負荷を減らすためには「ごみの総量をできるだけ減らすこと」と「正しく分別すること」が大切だとお話しされていました。
可燃ごみは焼却後に灰となり、埋め立て地へ運ばれますが、その受け入れには限りがあります。
大量生産・大量消費が当たり前だったこれまでの生活を見直し、必要なものを必要な分だけ購入することや、ひとつのものを長く大切に使うことなど、ごみそのものを減らす意識が求められています。
日々の暮らしの中で出るごみがどのように処理されるのかを知ることで、分別や排出の仕方を改めて考えるきっかけになる見学でした。
私たちフェリシモもお買い物をしていただく事業を行っていくうえで、「捨てる前提の消費」にならないように、「長く愛し、未来に貢献する前提の消費」をしていただけるよう、「背景やストーリーに共感していただける商品」を作っていきたいと思います。
<現在フェリシモで販売している環境に配慮した商品はこちら>


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