ハッピーバトンプロジェクトでお送りいただいた古着回収袋は、千葉県木更津市にある「ハッピーバトンセンター」に届きます。
ここではフィリピン出身のスタッフたちが、選別や梱包といった作業を行い、衣類は海外へと旅立っていきます。
今回は、日本リユースシステム株式会社のご案内で、その現場を取材。
さらに、センターで活躍するロサーナさん、マリハナさんにもお話を伺いました。
ハッピーバトンプロジェクトについて知るにはこちら▼
古着回収からはじまる、しあわせのバトンをつなぐ“ハッピーバトンプロジェクト”
しあわせのバトンをつなぐ、社会福祉法人ヨハネ会

ハッピーバトンプロジェクトセンター(千葉県木更津市)
千葉県木更津市にあるハッピーバトンプロジェクトセンターは、日本リユースシステム株式会社が運営するセンター。東京湾アクアラインを使って品川から車で約45分ほどの場所にあり、一日約800~1000袋の古着回収袋が届きます。届いた回収袋は全てその日のうちに選別・梱包・輸出が行われます。
センターに届いた古着は、廃棄するものがほぼない状態
古着回収センターと聞いてまずイメージしたのは、
山積みになった古着からきれいな物とそうでない物を仕分ける風景だったのですが、ここは違います。
古着はカゴにまとめられ、床には物が一切置かれていません。



「よく廃棄率はどれくらいですか?と聞かれますが、本当に廃棄するような古着はほぼないんです」とおっしゃるのは、日本リユースシステム株式会社 モンゴル・カンボジア現地法人代表、Export Department 部長の竹内卓(たけうち たく)さん。
取材当日に到着した回収袋を開封すると、驚くほどきれいな物ばかりで、新品未使用のものがたくさん詰まっていました。



「ボロボロになって着られないような洋服や、汚れた洋服はほとんど入ってきません」の言葉どおり、きれいに洗濯された状態で届くので、古着独特の香りも一切ありません。

センターは天井が高く、大きなシャッターが開いているのでとても開放的。
何よりセンターで働くフィリピンの女性たちが元気で活気と笑顔にあふれ、楽しく働く姿が印象的でした。
お気に入りの音楽が流れると歌いだすのはもちろん、ときには踊りだすこともあるそうです。
選別から輸出までの流れ
レーンを使って選別する



袋を開封して古着の状態を確認しながら、洋服を広げた状態でレーンに流します。



レーンの先には洋服を入れるカゴと雑貨を入れる大きな袋が待ち構えていて、ここで仕分けられます。




重さを測って圧縮

輸出用のコンテナには重さ制限があるため、一杯になったカゴの洋服の重さを正確に測ります。

規定の重さになったら、次は圧縮です。

大きな圧縮梱包機に洋服を移します。


入れ終わったら、梱包材を被せて圧縮。



上下の梱包材で古着を包んで、ベルトを巻きます。



フォークリフトで移動
ベルトが巻けたら、フォークリフトを使って保管場所へ移動させます。

福利厚生でフォークリフト免許の取得の援助があり、フィリピンの女性スタッフの8割がフォークリフトの免許を持っているのだそう。
「ここではチャンスを与えてくれ、ステップアップすると認めてくれるから、自分が変わっていく実感が持てる」と、フォークリフトを運転する女性スタッフが話してくれました。




センターの外にあるコンテナに、荷物を詰め込みます。

輸出

24トン分の古着を詰めたコンテナトラックが、カンボジア行きの船に向かいます。
“できるよ”が背中を押してくれた。フィリピン女性たちが輝く職場

〈 マリハナさん 〉
1997年来日、日本に来て28年。
センター設立当初からのスタッフ。入社4年目、シングルマザーで社会人と大学生の子を持つ。
〈 ロサーナさん 〉
1999年来日、日本に来て26年。
入社2年目で、夫と共働き。高校生の子を持つ。
ーーここで働くフィリピンの女性スタッフは、口コミだけで集まったとお聞きしたのですが、おふたりはどうやってセンターのことを知りましたか?
マリハナ:
「いい会社があるよ」という友達の紹介で知りました。
元々スナックで働いていたのですが、ここで働くようになってから少しずつスナックの仕事を減らして、今はお昼のこの仕事だけになりました。
ここで働くと国籍関係なくがんばる人を応援してくれて、実力を発揮すれば認めてくれるので毎日がんばろうと思えます。
ロサーナ:
フィリピン人が多くて、いい会社だっていう噂を聞いて、7年間勤めていたスーパーのスタッフを辞めてきました。
ここでは「フィリピン人だから文字が読めないでしょ?女性だから重くて難しいでしょ?」ではなくて、「できるでしょ?」という声かけをしてくれて、挑戦することを与えてくれます。
他の会社では外国人が一人のことが多いですが、みんな出身が一緒だから心強いです。

ーーここで挑戦できることのひとつに、みなさんフォークリフトの免許を持っているとお聞きしました。

ロサーナ:
はい、そうですね。ここにくるまでは、フォークリフトの仕事は男性だけの仕事だと思っていましたが、女性スタッフが運転しているのを見て「すごいなカッコいいな、自分もやってみたいな」と思いました。
わたしたちの意見を認めてくれ、挑戦させてくれるので、がんばり屋さんは免許を取ることができます。
認めてくれることが一番うれしくて、大切にされていることを感じます。
なので、会社から新しいチャンスを与えてもらえたら、何でも頑張れますね。
マリハナ:
この会社に入って自分が変わって感謝しています。認めてくれるだけで、自分の中で自信につながって。
スナックで働いているときは馬鹿にされたり、差別を感じることもありました。でもここに来て、どんどんできる気持ちが大きくなって、感謝しています。
ーーがんばった分だけ認めてくれ、自分の自信にもつながることが働きがいになっていますね。
ロサーナ:
はい、さらに資格を取れば、昇給する制度があって家計を支えることができて感謝しています。高校生の子どもがいるので、まだまだお金がかかります。
マリハナ:
うちは社会人と大学生なのでもう一緒には住んでいないですが、親として援助できることがありがたいです。
ーー毎日休まず出勤すれば、翌月のお弁当が支給されるとお聞きしました。これはとてもうらやましいです。
マリハナ:
さっきも、そのお弁当をみんなで食べました。今はお米が高いから、とても助かります。お弁当があるから、頑張って来れますし、用事を後回しにして仕事にいくぞ!という気持ちにもなりますね。作る手間が省け、食費が浮いて、食事のことを何も考えず出社できることがうれしいです。
ロサーナ:
お弁当もそうですが、わたしたちががんばるほど、働きやすいように設備を導入してくれたり、感謝祭をしてくれたり、毎日言葉で感謝を伝えてくれることがとてもうれしいです。
ーーハッピーバトンプロジェクトを支援してくださっているみなさまに、メッセージをお願いします。
マリハナ:
お客さまから送っていただいた古着は、わたしたちだけではなく故郷の途上国や障がい者、恵まれていない人達を助けることにつながります。お客さまの袋が届くたび、応援してくれていることが伝わっています。1袋でたくさん助かる人がいるので、感謝しています。
ロサーナ:
お客さまが送ってくれたものがあるおかげで、ここでもカンボジアセンターでも、みんなが仕事することができています。感謝の気持ちを込めて、送ってもらったものは大切に扱うことはお約束します。
応援コメント ✍🏻️
コメント数 1 件