「子どもがさかなを好きになれば海は豊かになる」―――そんな想いを胸に、魚の生態や海の大切さを“オモロく”伝えることで“やさしい想像力”を育む活動を行う“さかなのおにいさん かわちゃん”。
絵本作家や子供番組の歌の制作など、幅広いフィールドで親しまれています。
そんな彼の名を一躍有名にした、オチとツッコミで展開する“さかなの4コマ解説”の話や、世界が抱える海洋問題など、やさしさとユーモアを交えてお話いただきました。

川田一輝(かわた かずき)さん
1990年大阪生まれ。SDGsや環境活動の入口として幼少期からだ大好きだった「魚」を通して、その大切さに気づいてもらう活動を行う。“さかなのおにいさん かわちゃん”としてテレビ番組出演や、絵本作家、ラジオDJなど多岐にわたって活躍する。
魚のおもしろさって?

食べておいしい、育ててかわいい、水族館で観て楽しい、魚釣りでレジャー体験もできる……いろんな入り口がありますよね。
魚のおもしろさは、まさにそこにあると思います。
だからこそ、だれしも魚を好きになれると思うんです。
でもその大好きな魚は海が豊かでなければ、楽しめなくなってしまいます。
ーー川田さんは、魚の魅力をより多くの人に届けるために“オモロく”発信することにこだわっています。
それが、豊かな海を未来へつなぐ力になると信じているからです。
その取り組みのひとつが、“さかなの4コマ解説”。
その中から、思わず「へ〜」と声が出る、海の生き物にまつわる豆知識をご紹介してもらいました。
①おいしいサンマはイケメン

澄んだ瞳(魚は鮮度が落ちると瞳が濁ります)
・小顔(脂がのっていると背中が大きくなり自然と顔が小さく見えます)
・美しい口元(ダツ目の魚は口先が黄色。茶色や色褪せていると古くなっている証拠です)
つまり、おいしいサンマはイケメンなのです

②海が昆布出汁の味がしない秘密




昆布の旨みの成分「グルタミン酸」は細胞膜の中にあるため生きている時は、外へ出ません。
でも、採取して乾燥させると細胞膜はもろくなり、さらに熱湯にかけることで壊れてお湯にグルタミン酸がお湯に溶け出します。
つまりこれが昆布出汁。
海にいる間は、必死に頑張っているんですね(笑)。
③海中の昼ドラ!? 海の三角関係




タコは伊勢海老、ウツボはタコが大好物。因縁の関係から伊勢海老はいつもウツボに寄り添ってタコが近づけないようにしています。
一方でウツボは伊勢海老をおとりにしてタコが来るのを狙っています。
まさに三角関係のドラマ。
伊勢海老の名産地である三重県にある鳥羽水族館ではこの様子を展示されているんですよ。
海が抱える2048年問題!?




2006年アメリカの科学専門誌『サイエンス』に掲載され、世界中で注目を集めた“2048年問題”。
それは近い将来、約30年後には海から食用魚が劇的に減少する、という衝撃的な内容でした。
この節は諸説あるものの、実際に温暖化、海洋汚染、海産物の乱獲といった問題が、世界規模で深刻化しています。
ーーあまりにも壮大な話で、他人事のように思うかもしれませんが、すでに私たちの身近にも起こっていると川田さんは話します。

神戸の春の風物詩だったイカナゴも、秋のサンマも冬のブリもすでに獲れなくなってきています。
2048年のお寿司屋さんは、マグロやウナギ、イクラに白魚、ホタテにヒラメ…今ある魚がなくなっている可能性もあります。
水温が上がると養殖さえできなくなるんですよ。
ーー一度壊した生態系を元に戻すのは、容易いことではありません。
ですが、私たち自身が他人事でなはく自分事にすることで状況を変えることはできると言います。
私たちが今すぐできること

毎年800万トンのプラスチックゴミが海に流れています。
実は、その8割が都会から出たゴミ。ポイ捨てしたゴミは風に吹かれて川へ、その川から海へ流れつきます。
こうしたゴミは海洋汚染だけでなく、海洋生物たちが誤って食べ、命を落とす原因にもなっています。

そこで大事なのが「3R」リユース(何度も使う)、リデュース(ゴミを減らす)、リサイクル(違う形に生まれ変わらせる)という考え方。
自分たちの心がけはもちろん、全国には海のゴミ清掃を行うボランティア団体もあります。そういった活動に参加してみたり、支援してみたりするのも大きな一歩です。
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