「1000人集まれば復刊できる」復刊リクエスト第2弾、お申し込みを受付中の詩集『数と夕方』。
著者の管 啓次郎さんをお迎えして、2月23日、24日にイベントを開催しました。
イベントでは、復刊前の『数と夕方』の原稿をもって水辺を散策。声に出して順番に音読しました。
最後は、その日の散策で感じたことを詩に書いてみるワークショップも。
計14名の方にご参加いただき、詩を味わうたのしい時間だったと大好評でした。
この記事ではイベントの様子をおすそ分けします。読めば、まずは1行、言葉を書いてみたくなるかもしれません。

管啓次郎 さん
詩人・翻訳家・明治大学<総合芸術系>教授
紀行エッセー『斜線の旅』で読売文学賞受賞。『本は読めないものだから心配するな』『本と貝殻』などの読書論でも知られる。『数と夕方』をはじめ詩集は9冊を数え、20カ国以上で招待朗読をおこなってきた。サン=テグジュペリ『星の王子さま』の画期的新訳をはじめ、英・仏・西語からの翻訳多数。
太陽と海(神戸編)
2月23日、神戸は晴天。
温かい日差しに誘われて、フェリシモ本社での自己紹介もそこそこに、早速海辺へ繰り出します。



メリケンパークの端まで歩くと、目の前に広がる海が太陽の光に照らされ、さざ波はキラキラ揺れています。
海を背に『数と夕方』のなかから、海が登場する詩をみんなで音読しました。



ひとりひとりの声に耳を澄ませて、ことばが指すイメージを想像します。
夢を見ているように移り変わっていく詩のシーン。
神戸にいるはずなのに、
ことばが舞い、海を渡って、気づけば大海原で泳ぐトビウオやイルカたち、遊ぶ子どもたちの様子が浮かんできます。
詩が終わりに近づくとき、不思議と波の音が強くなり、鳥の鳴き声が聞こえてきました。
読み終わって顔をあげると、目の前には海。
まるで遠くまで旅をしてきたかのような感覚になりました。

心地よい余韻に身をゆだねながらフェリシモまで歩いてもどり、詩を書く前に管さんのお話を伺います。
詩を書くのははじめてという人も多い中、どのように書いたらいいのでしょうか?とお聞きすると。
「ことばは自分で作り出すものではなく、借りものです。
個人的な悩みや内面をうまく表現したいという人もいるかもしれないけど、僕の考えだとそれはあまり面白くない。
大切なのは考えないこと。今日見た思い浮かぶイメージを、10秒以内にまずは1行、書いてみてください」
ゼロから生み出そうとするのではなく自然と思い浮かぶイメージを、考え込む前に。
即興的で偶然のように出てくるワードから、詩の世界は広がっていくのかもしれません。
「困ったときは動物を登場させてみるといいですよ。イメージに動きが生まれます」
管さんのアドバイスに肩の力が抜けて、頭の中から印象的だった海辺の光景が浮かび上がりました。
まずは1行、鳩の目が赤く光っていたことを書いてみました。
管さんのアイデアで、参加者それぞれが1行書いてほかの人と交換していき、共同で詩を作ってみることに。
詩を書くということへの固定観念が変わっていく感覚がありました。




自分の1行からはじまった詩は、どのように広がったのでしょうか?
最後はそれぞれ、自分が書き始めた詩をおみやげに持ち帰りました。


同じ場所をみんなで歩いて見たもの、聞いたことが登場するのもおもしろく、盛り上がりました。

1行目を書いたとき自分が想像していた景色から、ほかの人の言葉によって飛躍して新しい景色が広がりました。
いつか出来上がった詩を読めば、今日のできごとや気持ちをきっと思い出せると思います。
雪と川(京都編)
昨日とはうって変わって、曇り空に雪が降る24日。
京都駅から徒歩10分ほど、鴨葱書店にてイベントがスタートしました。
雪が強いため、この日はまず室内で、詩集『数と夕方』から音読をすることに。
天気に併せて雪が登場する詩や、近くに鴨川が流れていることから川が登場する詩を読みました。


窓の外に雪が見えて、しんと静かな店内で詩の言葉が響きます。
川辺や洞窟の冒険のイメージが、それぞれの声によって築かれていきます。
ひとりで想像する読書とは違い、みんなで音読することで世界が作り上げられていく感覚に没頭しました。
音読のあとは、雪が降る寒いなか、思い切ってみんなで鴨川を散策に。
ふだん雪の降らないところから来てくださった方もいて、いつもと違う景色が新鮮でした。





鴨川には鳥が流れに逆らって浮かんでいました。虫を取っているのか、たまにくちばしを水中で動かします。
葉が落ちてはだかになった枝に、雪が降り積もっていました。
書店にもどって、昨日と同じように1行ずつ詩を書いていきます。





京都では、最後に少しだけ時間があったため、昨年11月に出版された管さん初の小説『ヘテロトピア集』の中から1作品を朗読していただく贅沢な時間も。

1行、声に出せば
2日間のイベントに参加してくださった方からの感想をご紹介します。
「音読するというのが本当に久しぶりだったのでおもしろかったです。
自分の言葉って方言があるのかもという発見もありました。
雪景色と詩の言葉の重なりが楽しかったです」
「本はひとりで読むものというイメージがありましたが、
みんなで読むことで読書を共有する体験が不思議でおもしろかったです」
「このようなイベントに参加したのは初めてでしたが、とても楽しかったです。
お話を聞くだけではなく、音読やワークショップに参加できるのが新鮮でした。
これからも詩を書きたいと思いました」
復刊リクエスト企画としてもはじめてのリアルイベントでしたが、
お客さまに楽しんでいただけて、ことばの不思議な楽しさを感じる時間になりました。

詩を読んで、書いてみる。
小学生のときの授業では、したことがある人も多いかもしれません。
子どもの澄んだ感性で味わう詩もよいですが、大人になってからの詩はまた違った味わいがあります。
「詩は一瞬で人の気分を変えることができる。気分が変わるのは良いことだ。」
と管さんは言います。
日々の暮らしのなかでは、やらなければいけないこと、考えなければいけないことがたくさんありますが、義務的なことに追われて疲れてしまうときもあります。
そんなとき、詩集を開いて、1行、声に出してみれば。
ことばはここではないどこかを指し示し、あなたを連れて行ってくれるはずです。
たまには、散歩にでて、感じたことをまずは1行、書いてみれば。
ことばはイメージを描き出し、未来の自分という読者に届くかもしれません。
詩を読んだり書いたりする時間が、あなたの日々をちょっと勇気づけ、一歩踏み出すためのきっかけになりますように。
『数と夕方』復刊へ

復刊リクエストでは、詩人・管啓次郎さんの詩集『数と夕方』のお申し込みを募集中です。
お申し込みが1000人を超えると、復刊がかないます。
ぜひ、お申し込みください。
そして1000人のお申し込みを達成してお届けすることができましたら、声に出して読んでみてくださいね。
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