古伊万里とは、江戸から明治にかけて伊万里港から輸出された磁器の総称。
その美しさに魅了されたフェリシモのプランナーが、「食器としてめでるだけでなく、身につけて自分自身を彩りたい!」と一念発起。
新感覚のやきものアクセサリーが誕生しました。
今回は、商品を共作いただいた長崎県・波佐見町にある石丸陶芸・三代目社長の石丸習二さんにお話を伺います。
石丸陶芸株式会社
昭和23年創業。
400年あまり続く波佐見焼の歴史を受け継ぎ、呉須による染付や古伊万里様式、染錦などの古くから伝わる技法を生かし、伝統的なものからモダンなデザインまで、いつの時代にも生活に溶け込んで人々に愛され続ける和食器を提供している。
骨董市などで見かける、古伊万里。
お皿として使用したり、飾っておくのも楽しいけれど、この美しさをもっと身近で楽しみたい!
そんなプランナーの思いから今回作ったのが、イヤアクセサリーです。
繊細な古伊万里の質感や色彩、柄を再現し、お出かけのときも顔まわりを彩ってくれます。
古伊万里を日常に
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日本陶磁器の発祥地として、有田に並び、400年の歴史を誇る波佐見。
江戸時代から庶民のための器を作り続けているこの土地で、伝統を守りながら現代の感性と技術を取り入れた
新しいものづくりを探求している石丸陶芸さん。
幅広い商品構成が魅力ですが、アクセサリーのパーツを手がけるのは今回が初めての試みだったそうですね。
石丸:
石丸陶芸が窯を開いているのは長崎県の波佐見町。
染付と青磁が中心の波佐見焼は、有田焼の絢爛豪華な絵付けとは趣が異なりますが、
弊社の先代が「古伊万里」の熱心なコレクターだったことから、それらを手本に伝統的な技法と赤絵を活かしたオリジナルのデザインで、古伊万里様式の器も数多く手がけています。
石丸:
最初に陶磁器で「アクセサリーを作りたい」と聞いたときは、正直「え⁉︎」と戸惑いましたが、
プランナーさんの声に耳を傾けるうちに、「やってみよう!」と心が動きました。
器は、暮らしの中で使ってこそ輝く。
私たちが長く大切に抱いている、そんな思いにも通じる熱意にシンパシーを感じたのかもしれません。
細部に宿る職人魂
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骨董市などで目にすることのある古伊万里の器は、手描きによる繊細な絵付けと豪華な金彩が印象的です。
今回のイヤアクセはどのような手法で作られているのですか?
石丸:
陶磁器は完成するまでに非常に多くの工程があり、伝統的に分業で作られています。
成形や絵付けなど、製品によっては機械などを使うこともありますが、現在でもそれぞれにその道の専門家(職人)が携わっているんですね。
フェリシモさんと作ったイヤアクセのデザインは、お皿の面分割の形状をイメージして、一から型を作ったんですよ。
耳に下げた時に重くならないよう、薄さにこだわりました。
磁器は硬いのでこのくらい薄くても割れにくいのも魅力です。
石丸:
絵柄は、古伊万里様式の絵皿の一部をアクセサリー用に職人が描き直して、オリジナルの版を作りました。
最終的には転写紙による印刷で仕上げますが、ステンシルの要領で染料を擦り付けるので、色数が多いほど手間がかかります。
柄を縮小してシールみたいにペタッと貼れば完成するほど簡単ではないんですよ(笑)。
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色も柄も美しく、古伊万里らしさがきらびやかに再現されていますね!
石丸:
何度も試作を繰り返しましたが、細かな線や模様もきれいに入りました。
特に金彩は、本物の金を使っているので、やはり輝きが違いますね!
昨今、金の価格が高騰しているのでコスト面では厳しいところですが、妥協せず、とことんこだわり抜いてよかったと思います。
色や柄の再現性はもちろんですが、古いもののよさというか、長い歳月をへてきたかのような風格や質感まで伝わればうれしいですね。
陶磁器の魅力を後世へ
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窯元であり、商社でもあることを生かし、陶磁器の魅力を伝えて広げる活動を積極的にされている石丸陶芸さん。
職人さんの高年齢化や材料の高騰など、伝統を守りゆくためには、たくさんの苦労もあるかと思います。今後の夢やビジョンなどはありますか?
石丸:
職人の数は減少しているし、昔のようにすべての工程を人の手で担うことがむずかしくなっているのは事実。
けれども、機械や印刷など、現代の技術を取り入れながら、しっかりと伝統を守り受け継いでいくことは、ある意味「進歩」だと考えています。
かつて、古伊万里と呼ばれる時代のやきものは、海を渡り、歴史も文化も異なる外国の王侯貴族に珍重されてきました。
そのまま飾るだけでなく、金具などを取り付けて二次加工された歴史もあるんですね。
そんなふうに、求められる場所でかたちを変えながら、美しさに磨きをかける。
弊社でも「コーヒー碗」など、江戸時代にはなかった用途や形状の新しい器が人気を集めています。
使ってこそ輝く「用の美」と、歴史に裏打ちされたロマンが伝わる陶磁器を、これからも作り続けていきたいです。
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