イケメンゴリラで大人気の、
東山動植物園のシャバーニをモデルにした“バックハグブランケット”を、
フェリシモでは発売しています。
今回、デイリーポータルZさんと「イケメンゴリラ」はどのくらいかっこいいのか、
実際に会いにいっていただきました。
デイリーポータルZ(デイリーポータルゼット)
面白いだけかと思ったらちょっと役に立つこともある。そんなオルタナティブなポータルサイト。執筆しているのはライター安藤昌教(あんどう まさのり)。トレランから写真、むかないで食べる活動まで得意分野が広い。
名古屋にある東山動植物園にイケメンとして有名なゴリラがいると聞いた。
ゴリラってそもそも強くて優しくてかっこいいイメージの生き物なのだけれど、
中でも東山動植物園にいる「シャバーニ」というゴリラはとにかくかっこいいらしい。
どのくらいかっこいいのか、会いに行ってきました。
商品化されるほどのかっこよさ
フェリシモがこの秋、イケメンゴリラ「シャバーニ」を商品化した。
それがこちら。
ゴリラのシャバーニが優しく包み込んでくれるブランケットである。
この包まれてる感は癖になる。
いま僕はこのシャバーニブランケットに包まれながら原稿を書いています。
でもこれ、イケメンというよりも癒し系だと思うのだ。
優しさや愛、包容力を永遠に感じられるタイプのブランケットである。
東山動植物園にやってきた
このブランケットのモデルとなったイケメンゴリラ「シャバーニ」とはどんなゴリラなのか。
本当にそんなにかっこいいのか。
シャバーニがいる名古屋の東山動植物園にやってきた。
開園と同時に入園して急ぎ足でゴリラ舎へと向かう。
この日は昼から雨の予報が出ていたので、
ゴリラたちが外で遊ぶならきっと晴れている朝のうちだと思ったのだ。
開園直後でまだお客もまばらなゴリラ舎では、
飼育員さんが野菜を配っているところだった。
朝ごはんの時間なのだろう、
ゴリラたちが次々と外に出てきた。
ゴリラ舎の屋外スペースはすごく広いので、
遠くから望遠レンズを構えてその動きを追う。
ゴリラ、かわいい
ゴリラたちは配られた野菜を一つ一つ丁寧に拾い集めていた。
好き嫌いがあるのかその日の気分なのか、
ゴリラによって集める野菜が違っていて、人気のトマトとナスはすぐになくなり、
最後にネギが拾い集められていた。
ゴリラたちが一生懸命野菜を拾う姿は、かっこいいというよりもどこか愛嬌がある。
中でも一人、明らかに体格のいいゴリラがいた。あれがシャバーニだろうか。
野菜を集めてまわったゴリラたちは、降り出した雨を気にしてか、
ゴリラ舎の軒下に座って野菜を食べていた。
かわいい。
ところでゴリラは、あんなに大きなからだをしているのに野菜だけ食べて生活しているのだろうか。
ここまでゴリラたちを見た感想としては、
かっこいいよりも圧倒的に「かわいい」が勝っている。
確かに筋肉質な背中や躍動感のある動きにはかっこいい一面もあるが、
一生懸命に野菜を集めて軒下でほおばる姿は抱きしめたくなるほどだ。
となるとシャバーニに抱きしめられるフェリシモのブランケットは逆じゃないのか。
しかし、ゴリラの本当のかっこよさはここからだった。
ゴリラたちは地下へ
このあと外は雨脚が強まり、
ぬれるのを避けて室内に入ってきたゴリラたちは少し遊んだ後、
地下の飼育スペースへと降りていった。
その間に飼育員さんがゴリラ舎をすみずみまできれいにしていく。
この流れは毎日同じなのだろうか。
ゴリラたちと飼育員さんの息がピッタリ合っていた。
それでも人気のシャバーニはじめゴリラたちである。
地下に降りて行ったことを知らないお客さんたちが、続々とゴリラに会いにやってくる。
せっかく会いに来たのに肝心のゴリラたちが留守なのだ。
これには少し責任を感じ、来る人来る人に、
「いまゴリラたちはご飯を食べて地下に降りて行ったばかりなんですよね~」とお伝えしていった。
僕が責任を感じることはないのかもしれないが、
がっかりされたらゴリラたちにも申し訳ないだろう。
ゴリラたちがまた出てきてくれるまで、
ゴリラ舎の壁に掲示されていた情報でゴリラについて学んでおくことにした。
ゴリラの飼育の難しさ
いま日本には20頭のゴリラがいるらしい。
かつては各地の動物園にいたのだが、
ゴリラは本来群れで行動する生き物のため、
なるべく自然に近い形で繁殖してもらいたいと考え、
少数飼育だった個体を上野動物園に集めたりした歴史があるのだという。
80年代に締結されたワシントン条約以降、
野生の動物を輸入して動物園で展示するのではなく、
なるべく国内にいる個体同士で繁殖させようという動きに変わる。
しかしゴリラの繁殖は難しく、高齢化も進んでいることから、
いつか日本ではゴリラを見ることができなくなってしまうかもしれないのだとか。
そんな中、東山動植物園では生まれたてのゴリラ「アニー」の人工哺育に成功し、
飼育員さんたちとゴリラたちの努力により、
ようやくシャバーニたちと群れとして暮らせるようになった。
学べば学ぶほどゴリラへの興味が湧いてくる。
ゴリラはしぐさとか表情なんかが個性的で、
それぞれにすごく感情というか意思みたいなものを感じるのだ。
だから見ていて飽きないし、
逆にあまり凝視してはいけないのでは、という気持ちすら生まれてくる。
いままでは動物園に来ても、ざっと全体を見て回るばかりで、
こうやって一つの動物を一日中じっくり見るということはなかった。
でもこれが改めてすごくよかった。
動物園には各動物の特徴や飼育の歴史について、すごく詳しく掲示されていたし、
なにより長時間おなじ動物を見ていると、
その動物の行動パターンが理解できるようになる。
ゴリラたちは特に、顔で個体が判別できるようにもなった。
すると細かい発見がいくつも見つかるのだ。
たとえばゴリラはナスのヘタを食べない。
ゴリラ舎の中のお掃除時間にはゴリラたちは地下の飼育室へ入ることが日課なのだろうか。
掃除が終わって部屋の中にまた野菜が配置されると、
待ってましたとばかりに地下からゴリラの家族が上がってきた。
このお客さんはゴリラたちの大ファンらしかった。
ゴリラたちは地下に降りて行って何をしているんですかね?
と聞くと、一番高齢のネネさんというゴリラが体調を崩して地下にいるため、
できるだけみんなで近くに寄り添っているのでは、と言っていた。
なるほど、地下の様子はうかがい知れないが、
それを聞くとさっきまでのゴリラたちの行動にも説明がつく。
ご飯食べたらすぐにみんなで地下に降りて行ってたもの。
ご飯の時間となり、
ロープにぶら下がったりして遊びまわる子どもたちの後から、
シャバーニも上がってきた。
目の前にシャバーニが!
僕の目の前にシャバーニがいる。その距離2メートルほどである。
今日一番の至近距離での遭遇。僕がカメラを構えるとシャバーニもこちらを見てくれた。
シャバーニ、圧倒的な存在感である。
目が合った瞬間に電流が走る、
というのは思春期特有の病ではなかった。
シャバーニと目が合った瞬間、カメラ越しなのが申し訳なく感じ、
思わずファインダーから視線をずらしたほどである。
ゴリラたちは行動も人間に近いのだけれど、
なによりその表情とか目線に完全に僕たちと同じ感情が感じられるのだ。
ゴリラはかっこいい
確かにシャバーニはかっこよかった。
群れのボスとしての威厳ある立ち居振る舞いもだが、
表情や目線を含めた動作のどれをとってもサマになっている。
まるでふだんはスクリーンの向こうにいるスターを生で見ているかのようだ。
いま僕はシャバーニのブランケットをはおってこの原稿を書いているのだけど、
正直写真を見ながらまた照れちゃっている。
なんなのかこの感情は。
ゴリラ撮影のコツ
今回、僕はゴリラだけで600枚以上の写真を撮っていた。
それだけ撮ってわかった、
ゴリラを撮るときのコツをいくつかまとめておこうと思う。
・露出補正をマイナスに
ゴリラは黒いので、普通に撮ると明るく写りすぎてしまう。
カメラが人の顔を暗くしないよう勝手に気を利かせてくれるのだ。
しかしそれではゴリラ本来のかっこよさは表現できないので、
ぜひマイナス側に一段くらい補正して撮ってみてほしい。
・慣れるまではシャッタースピード優先で
ゴリラはあまりじっとしていないので、
普通に撮ると被写体ブレしてしまう。
それではかっこよくない。
ゴリラが室内にいる場合はISO感度を高めに設定して、
シャッタースピードを最低でも1/100以上で撮ることをおすすめする。
ゴリラが驚くのでもちろんフラッシュ撮影は厳禁だ。
・謙虚な気持ちで目線をもらう
ゴリラは確実に人のことを見ている。
ゴリラが不快に思ったりストレスを感じないよう、
撮らせてもらってもいいですか、という謙虚な気持ちで撮影に臨んでほしい。
その気持ちが伝わると、ちゃんと目線をくれるはず。
あとは焦らず、
じっくりと時間をかけてゴリラと対峙してみてほしい。
相手を好きになればなるほどいい写真が撮れる、
というのはモデルさんのポートレートを撮るときに先輩から教えられたことだけれど、
ゴリラを撮るときも同じだなと思った。
再びブランケットに包まれてみて
実際にシャバーニに会いに行ったあとでこうしてブランケットに包まれていると、
行く前とは印象がまったく変わっていることに気づく。
なんだかシャバーニの存在をすごく近くに感じるのだ。
実際にモデルはシャバーニだし、
ブランケットでしっかりと抱きしめられているので当たり前なのかもしれないが、
見た目以上の存在感がそこにはある。
このブランケットを買った人は、ぜひシャバーニに会いに行ってもらいたい。
シャバーニに会った後にブランケットで包まれると、ものすごく安らぎますから。
実は再訪でした
実はこの取材は夏にも一度訪れているのだ。
しかしながら、その時はネネさんの体調が思わしくなく、
それに影響されてゴリラたちの間に不安が広がり、僕たちはゴリラたちに会えない状態だった。
それから約一ヶ月ほど、
毎日のように東山動植物園のブログを見に行き、ゴリラたちの体調を心配して過ごした。
ゴリラは知的でデリケートな生き物なのだ。
一頭が体調を崩すと家族みんなが心配して不安になる。
そのあとゴリラたちは少しずつ調子を取り戻し、
観覧が再開された。
そういう経緯もあり、僕たちは今回、かっこいいシャバーニに会えてうれしかったのだが、
会えない期間にゴリラについて学んでおいたことが、感動をより大きくしたと思う。
みなさんもぜひ、
単に「かっこいい!」と騒ぐだけでなく、
これをきっかけに、ゴリラについて興味を持って学んでもらうといいと思う。
これはどの動物についてもそうなんだけど、
しっかり勉強してから会いに行くと、見え方ががらりと変わっておもしろいです。
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