ワードローブの3分の1は黒とおっしゃる福田麻琴さん。20代のころから今もずっと黒を愛しているそうですが、年齢を重ねるにつれ、黒の捉え方が変わってきたのだそう。
そんな福田さんは、、3年前に衣類を黒に染めかえるフェリシモのサービス「kuronicle(クロニクル)」と出会い、黒色専門の染屋「京都紋付」で黒染めを体験されました。
今回は福田さんにとっての黒色に関するお話や、元々お持ちだった染め物への思い、実際に京都紋付で黒染めしたいくつかのアイテムをご紹介してもらいました。
福田 麻琴(ふくだ まこと)
女性誌を中心に広告、カタログ、タレントのスタイリストとして活動。フランス留学の経験も活かした洗練されたカジュアルスタイルに定評がある。 @makoto087
年齢で変化した黒の捉え方
40代オーバーになってくると 黒って結構着づらくなってくるみたいで、顔がくすんで見えたり、ちょっと怖く見えたり、黒は難しいっていう話をよく聞いていたんです。ちょっと魔女感というか、ベテラン感みたいな!?
でも、私もずっと黒を着続けられる人でいたいなっていう気持ちもあって、好きな黒と長く付き合うコツを試行錯誤しています。
私の中で一番カジュアルな服を着るときでも、あえて黒を選んだりするんです。黒はちょっとした華やかさを添えてくれるし、着やすい。あと、礼服はやっぱり黒が多いですし、カジュアルの端っこから、エレガントの端っこまで、黒が中心にあるっていう感じがしますね。
黒を選ぶマインドにも変化を感じていて、20代、30代の若い頃は黒をかっこよく着こなして、大人っぽく見せたり、しっかりしている印象を与えたり、武装するための黒でした。でも、それなりに年を重ねて自分の中から出てくる年齢的な刻みやにじみがある今は、黒をもっとかわいく着たいと思うようになりました。
どうすれば新しく生まれ変わるかな、という興味
京都紋付さんとの出会いは、フェリシモのサイトでした。
フェリシモさんとはよくお仕事させてもらっているんですが、フェアトレードのオーガニックコットンだったり、基金付きの商品で売り上げの一部がインドの女性たちの支援につながっていたり。積極的にそういった活動をされている会社だと感じていて、新しく黒染めのサービスが始まると聞いて。
実はスカーフを一度自分で染めたことがあるんです。
藍染してるお友達のワークショップに参加したんですけど、とても濃厚ですっごいいい藍色になって。今はだいぶ日焼けしたりして色あせライトブルーみたいな感じになってきたんですけど、またそれはそれで味わい深くて。
別で泥染めのスカーフも1枚持っていて、その2枚が自分が持っているスカーフの中でもよく使うものなので、染めることって、ものを生まれ変わらせるひとつの素敵なアイデアなんだなと思って。
染めるっていいなとぼんやり思っていましたけど、大好きな黒で染める手法が日本にもあるのが驚きで、しかも紋付で染めるというのが格好いいなと思いました。
例えば、白いシャツで襟に落ちないシミがついてしまって、お気に入りなのにもう着れないことがあるじゃないですか。そういう服をストックしておいて、工夫してまた着られるものにすることを考えるのが結構好きかもです。
新しい服をどんどん買うより、持っている服を長く着る方法をいろいろ試しています。シンプルに着ていたTシャツが今のスタイルにぴったり来ないんで、10センチくらい丈を切ったら、途端に本当に今年のTシャツみたいになったり。いろんな工夫次第で、まだまだ楽しめるなと気がつきました。
もちろんお楽しみとして好きなブランドの服を買ったり、仕事柄そういうお買い物はしますけど、たくさん買うことではもう満たされない何かがあります。今はもうちょっと ミニマルに、 もう1回自分の好きなものと向き合いたいなって気持ちです。なので、手元にあるもので、どうしたら面白く生まれ変われるかな、というところに興味があります。
福田さんが京都紋付で黒染めしたアイテム紹介
黒いコットンカーディガン
このブランドは、背中の縫い目が特徴的なんですが、黒く染めたら見えづらくなるんですね。でもこのカーディガンのかたちが好きだから、その縫い目が消えてしまってもいいかな、という境地にだどりつきました。
白いシャツ
首の後ろが汚れてしまった白いシャツなんですけど、 クリーニングに出しても落ちないから染めてみました。そうしたら、新たな発見が。ステッチが天然の素材の糸じゃなかったんですよ。
天然素材じゃないと染まらないから、ステッチだけ白く浮き出て。生地は黒に染まったんで、ステッチの白がポイントになってかわいくて。シャツの第2の人生が始まったんだなって思いました。ただただ黒になるっていうよりは、こういった新たな発見があることが面白かった。
七分丈のカットソー
あるときポトンと濃い何かが付いてしまって、シミが落ちなくてしまって。
割と前面の目立つところにあったんで、せっかくだから黒にしてみようと思いました。
実はこのカットソーは、同じデザインの黒のTシャツを持っていました。同じデザインの白を黒染めをしたのですが、黒染めをすると質感が滑らかに柔らかくなるので黒染めした方がお気に入りです。冬はインナーにしたり、春夏は1枚できたりって感じでよく着ています。
コロナ禍を経て、服との向き合い方が変わりました。今まで集め続けた服を整理したり、それにより自分の“好き“を再確認したり。
そしてその好きなものとどうやって長く付き合っていくか。今はそんなことを考えるのが楽しいです。
染めるというのはアイデアの一つ。もっともっと色々なアイデアでこれからも服を楽しんでいきたいです。
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